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SF映画などの題材になってきたVR(バーチャル・リアリティー、仮想現実)を実際に体験できる時代が訪れた。ゴーグル型の「ヘッドマウントディスプレー」を身につけ、コンピュータグラフィックスに描かれた異空間に入り込み、実際にはあり得ないことを疑似体験できるものだ。ゲームや映像作品だけでなく、ビジネス、教材にも活用されていきそうだ。米フェイスブック傘下のオキュラス、台湾HTC、ソニーなどによる高機能端末が出そろう今年は「VR元年」と期待されている。いくつかのコンテンツを体験して感じたVRの可能性を振り返った。
不可能を可能に
唐突だが、宮本武蔵にこういう逸話がある。兵法の極意を尋ねられた武蔵が、「畳のへりを踏み外さず歩けるか」と逆に聞いたという。「簡単だ」とやって見せると、今度は、落ちたら確実に死ぬような上空にへりがあった場合、同じように歩けるか、と尋ねた。それを可能にするのが極意だというのだ。普通なら絶対にできない上空での歩行を思いもよらず、VRで疑似体験する機会を得た。結論を先に言えば、少なくとも平然と歩くことはできない、と断言したい。
バンダイナムコエンターテインメントが4月、東京・お台場の商業施設「ダイバーシティ東京プラザ」内に開設した「VR ZONE Project i Can」。その中のコンテンツの一つ、「高所恐怖SHOW」の話だ。