この裁判では「認知症の影響で自制力が低下し、量刑上有利に考えるべきだ。治療に適した施設の入所など再犯防止が図られており、実刑は重すぎる」とされた。
古川准教授は「この認知症は地域や社会とのつながりが少なくなり、刺激のない生活を送ると症状が悪化してしまう傾向がある」とし、こう訴える。
「認知症と診断されても社会と距離を取るのではなく、普段から近所付き合いや地域との関わりを続けていくことが重要。患者は、万引が悪いことという認識は持っている場合が多い。周囲がそれを理解し、患者が盗みをしそうになった場合は指摘してあげられるような環境づくりが求められる」