【衝撃事件の核心】裁判長「もう1回だけ、執行猶予ですからね」…なぜ万引?認知症女に苦渋の判決 クレプトマニアと異なる実態(2/4ページ) - 産経ニュース

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衝撃事件の核心

裁判長「もう1回だけ、執行猶予ですからね」…なぜ万引?認知症女に苦渋の判決 クレプトマニアと異なる実態

女性は万引の〝常習犯〟だった。

平成24年6月、トマトなど約1千円分の商品を盗んだとして罰金刑を受けていた。2年後の26年7月には、もやしなど約1800円分の商品を万引したとして懲役10月、執行猶予3年の有罪判決を受けており、今回の万引は、この事件による執行猶予期間中の再犯だった。

前頭側頭型認知症の実態

「なぜ万引してしまうのか、自分でも全く分からない」

万引を重ねる度にこうつぶやく女性に、女性の夫は病気の可能性を疑った。逮捕後に保釈され、医師の診断を仰ぐと、「前頭側頭型認知症」という聞き慣れない病名を宣告された。

介護福祉士で追手門学院大社会学部の古川隆司准教授(社会福祉学)によると、前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで起きる。他の認知症と比べると、50代など若年層でも発症するケースが比較的多い上、アルツハイマーとは異なり、物忘れや徘徊(はいかい)といった認知症によくみられる症状は少ない。万引など「反社会的な行動」を繰り返すことが多いが、患者数も少ないことから、周囲が気付かないことも少なくない。

同じような万引を重ねる症状として、窃盗を繰り返す精神疾患「クレプトマニア」(窃盗症)が近年、クローズアップされているが、これとも異なる。

古川准教授によると、違いは動機。クレプトマニアは依存症で、10代でも依存者がみられ、物を盗む直前の高揚感から何度も犯行に手を染めてしまう。

一方、前頭側頭型認知症は、自分でもよく分からないうちにものを盗んでしまうことが多く、動機をうまく説明できないことが多いという。