■国鉄総裁在任中の議事録など
愛媛県西条市教育委員会は、市立西条図書館が所有している十河信二・第4代国鉄総裁関係の資料を整理した「十河信二文書目録」を作成し、研究機関などに配布している。国鉄活動期の1次資料の目録が少ない上、高度成長社会への国鉄の対応が分かる資料が多く含まれていることから注目されている。
目録はA4判、520ページ。掲載されているのは、新幹線計画を推進した十河氏が、総裁在任中の昭和30(1955)年から8年間に使用した1万点を超える資料。常務会、理事会などの会議資料、議事録などは開催順や担当部局別に、このほかの手元資料は新幹線関係とそれ以外に分類して文書名が列挙してある。また資料の解説や目録作成の方針も付記されている。
資料は十河氏が西条市長を務めた縁で平成2(1990)年までに遺族から寄贈され、これらを効率的に活用するため十河文書研究会(代表・原朗東大名誉教授)が6年前から整理していた。
同研究会は、巨大組織の頂点である総裁室にまであげられた重要度が高い資料の集積で、標準軌新線を意味する「新幹線」という表現が、東海道線増強策に使われるようになった時期を特定する研究などに活用できる-と評価。今後は、資料の利用条件の整備や資料自体の研究が課題だと指摘している。
目録は200部作成。東大社会科学研究所などの研究機関、リニア・鉄道館などの展示施設、出版社などに配布する。
また同市は今年度、資料のデジタル化に着手し、完成分から順次、公開することにしている。