都市を生きる建築(65)

迷宮・地下街を養分にした樹木を表現…大阪富国生命ビル

【都市を生きる建築(65)】迷宮・地下街を養分にした樹木を表現…大阪富国生命ビル
【都市を生きる建築(65)】迷宮・地下街を養分にした樹木を表現…大阪富国生命ビル
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 連載タイトルの「都市を生きる建築」にこれほどふさわしい建物はないかもしれない。2010(平成22)年に梅田に完成した地下4階地上28階建ての「大阪富国生命ビル」である。デザインアーキテクトを、世界的に著名なフランス人建築家のドミニク・ペロー氏が務めた。

 氏はこの超高層ビルを「最も生き生きして直立している自然物である樹木」になぞらえて構想したと述べている。ビルの低層部は大きな樹木の根元のように末広がりになって、地下空間から生えている。それが上層に行くにつれて次第に平滑さを増し、空に向かって毅然(きぜん)と伸びる。そんなイメージから計画は始まったという。

 梅田の地下街は1942(昭和17)年に最初に作られ、1960年代以降に増殖して、周囲のビル群と関係した複雑な姿となった。都市の一部として地下空間のネットワークがあり、生き生きとした活動が展開されている。このヨーロッパの人々にあまり馴染(なじ)みのない構成を氏は強く意識していて、場所の個性を養分にした形であることが分かる。

 内部の「フコク生命(いのち)の森」も、都市の中でどうあるべきかを考えた設計だ。地下2階から4階まで吹き抜けて太陽の光が降り注ぎ、今日の天候を仰ぎ見られる。天井の低い梅田地下街とは対照的な空間づくりを通じて、街中だからこそ自然が格別に思える瞬間が強調されているのだ。

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