刑事司法改革

テロ対策、次の焦点「共謀罪」 国際社会の常識、名称変更も

2000年に国連総会で採択された国際組織犯罪防止条約は昨年11月現在で186カ国・地域が締結。先進7カ国(G7)で未締結は日本だけだ。締結には共謀罪に相当する国内法の整備が必要とされている。

共謀罪の創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案は、平成15年3月と16年2月、17年10月に国会に提出されたが、当時野党だった民主党などの慎重論や、自民党内の混乱でいずれも廃案になった。議論の過程では「『上司を殴る』と同僚と居酒屋で話しただけで逮捕される」や、摘発対象となる「組織的な犯罪」の「組織」が「労働組合や一般企業も対象」といった誤った批判までみられた。

その後、民主党政権時代は法案は提出されず、安倍政権では厳しい議論が予想された安全保障法制の審議を優先。共謀罪については「国民の理解を得ていない。慎重に対応したい」(昨年11月、萩生田光一官房副長官)などとして提出が見送られてきた。

だが、テロ対策での国際協調の中で日本が果たすべき役割は大きく、東京五輪も4年後に控えている。ある法務省幹部は「早急に法制化させなければ、国際社会からの信用を失う」と話す。法務省は一部で拒否感のある「共謀罪」の呼称変更や構成要件の見直しなども含めて、法案の内容を慎重に詰めている。

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