大人の遠足

長崎丸沈没の責任を取り自決した菅源三郎船長の石像が学生たちを見守り続け…東京海洋大・越中島キャンパス

【大人の遠足】長崎丸沈没の責任を取り自決した菅源三郎船長の石像が学生たちを見守り続け…東京海洋大・越中島キャンパス
【大人の遠足】長崎丸沈没の責任を取り自決した菅源三郎船長の石像が学生たちを見守り続け…東京海洋大・越中島キャンパス
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 東京高等商船学校の流れを汲み、重要文化財の明治丸などの重厚な歴史遺産群がある東京海洋大・越中島キャンパス(東京都江東区)。そこに、ひっそりたたずむ一体の石像がある。74年前の5月、船沈没の責任を取って割腹自決した卒業生、菅源三郎・長崎丸船長(1883~1942年)。そのまなざしは、戦後の価値観の転換により忘れられた武士道精神、そして平和のありがたさを静かに語りかけている。

 荘厳な石造りの1号館脇。 柔和な目、双眼鏡を手に背筋を伸ばした姿が、木漏れ日を浴びて薄灰色に浮かび上がっていた。「コンクリートみたいな材質ですよね」。OBボランティアガイドの藤田善範さん(88)が、像の表面をそっとなぞった。

 建立は昭和20年1月。「立派な銅像を建てたかったでしょうが、金属供出の戦時下。物資不足のなか像が立てられるほど、国民から大変な尊敬を受けていました」。当時、旧制中学に通っていた藤田さんも感銘を受けて同じ道に進み、船長を務めたという。

 貨客船でありながら、先の大戦で米国船を座礁させる功績を上げた長崎丸。船長自決の経緯は、当時の新聞などによると次の通りだ。