主張

サミットと経済 危機認識の隔たり直視を

 そんな中で、安倍首相が世界経済についてリーマン・ショック前と似た状況だと説明したのは唐突だった。一部首脳が異論を唱えて首脳宣言には入らなかった。

 対応を誤れば大きな危機を招くとの問題意識は分かる。首相が増税再延期の条件とする「リーマン級の危機」でG7の認識を一致させたい思いもあったのだろう。

 だが、財政出動で日本と独英の溝が埋まらなかったことと合わせて、首相は危機感の隔たりについて重く受け止めるべきである。

 国際通貨基金(IMF)によると、今年の日本の経済成長率見通しは0・5%にとどまるが、米国は2・4%、ユーロ圏も1・5%である。この状況で、新たな危機の背景を世界経済の不確実性ばかりに求めても無理があろう。

 安倍政権が向き合うべきは、欧米よりも日本の経済が停滞している現状である。その要因を真摯(しんし)に検証し、経済政策の足らざる部分を強化する。それこそが危機を回避するための前提条件である。

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