自民党の小泉進次郎農林部会長を中心とした若手議員がぶち上げた「厚生労働省分割案」が党内で波紋を呼んでいる。これまでも浮上しては消えてきた分割論に冷ややかな見方も多いが、小泉氏の父、純一郎元首相が「自民党をぶっ壊す」と郵政の解体や派閥の弱体化に腐心した姿と重なり、厚労関係者の恐怖心をあおっているようだ。
「あるべき社会保障を考えると、所管省庁のあり方(の見直し)にただちに着手すべきだ」
小泉氏が事務局長を務める若手議員の「2020年以降の経済財政構想小委員会」が厚労省分割案をまとめた今月11日、小泉氏は記者団に厚労省改革への意欲を示した。少子高齢化が急速に進む中で、厚労省が医療や介護、高齢者の雇用対策、子育て、生活保護など、多様化する国民のニーズに対応できていないというわけだ。
確かに、厚労省の業務量は他省庁と比べて多い。比較しやすいのは、通常国会への提出法案数だ。平成26年からの3年間で、経済産業省主管の法案は17本で、国土交通省主管が24本だったのに対し、厚労省主管の法案は27本に上った。
それに伴って厚労相の「仕事量」も増え、昨年の通常国会での答弁回数は、外相1749回▽文部科学相1397回▽経済産業相1243回▽国交相687回―だったのに比べ、厚労相は2934回と断トツで多かった。