「後見制度支援信託」利用6500件超 昨年、過去最多

 認知症などで判断能力が低下した高齢者らに代わり財産管理などを行う成年後見制度の不正防止のため、後見人の財産管理を支援する「後見制度支援信託」の利用が昨年、6500件を超え、史上最多を大幅に更新したことが25日、最高裁の調べで分かった。最高裁は「利用は後見人の負担減につながる。積極的に活用してほしい」としている。

 支援信託は平成24年2月に開始。最高裁によると、同年の利用は98件と低調だったが、25年は540件、26年は2764件、昨年1年間は6563件と急増が続く。昨年、信託された財産は約2109億円で、制度開始以来の累計総額は約3363億円に及ぶ。

 支援信託では、高齢者らが家庭裁判所の後見開始決定を受けた後、専門職後見人に指定された弁護士や司法書士らが資産状況を確認。生活費などの収支計画や、銀行へ信託する財産について家裁に報告書を提出する。その後、家裁が許可すれば信託銀行と契約する。

 契約後、財産管理は基本的に親族後見人に引き継がれ、銀行側から後見人に毎月、契約に基づく生活費などが一定額交付される。まとまった額の引き出しや財産の追加、解約などは、新たに家裁の許可が必要。ただ、家の修理など緊急時には、家裁が即日で引き出しを許可することもある。

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