「絶望読書」のすすめ 頭木弘樹さん、新たな人生を切り開くため

「絶望読書」のすすめ 頭木弘樹さん、新たな人生を切り開くため
「絶望読書」のすすめ 頭木弘樹さん、新たな人生を切り開くため
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 大学3年生の時だった。頭木弘樹さん(51)は医師に、就職も大学院進学も諦めて親に面倒を見てもらいながら一生を送るしかないと宣告された。絶えず下血に襲われる潰瘍性大腸炎。それから13年間、絶望の闇の中で入退院を繰り返しながら過ごした。その時期に頭木さんの支えとなったのは、カフカやドストエフスキーの絶望の文学だった。そんな体験をふまえて頭木さんは「人は絶望しているときにこそ、絶望の文学が必要」という『絶望読書』なる本を書き上げた。(桑原聡)

 人はそれぞれ人生の脚本を持っている。だが、病気や事故などによって書き換えざるをえない状況に追い込まれることがある。「本来の人生」を喪失し訪れるのは絶望だ。そこから立ち直るとは、厳しく悲しい現実を受け止めたうえで脚本を書き換えることだ。

 ところが、効率という妖怪につきまとわれているわれわれは、一刻も早い立ち直りを望み、あるいは強制され、現実をきちんと受け止めぬまま都合の良い脚本をでっち上げようとする。これでは数年後「遅延化された悲嘆」に襲われ、より深刻な状態に陥る可能性すらある。

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