浪速風

昨日の敵は…にめまいがする

隔世の感がある。オバマ米大統領がベトナムの首都ハノイを訪問し、チャン・ダイ・クアン国家主席と笑顔で握手した。しかも武器輸出の規制を完全に解除すると発表した。南シナ海に進出する中国の脅威に対抗するためという。ベトナム戦争終結から41年。もう怨讐(おんしゅう)は消えたのか。

▶当時、米国は象に例えられた。圧倒的な軍事力で「巨象がアリを踏みつぶしている」。民族解放闘争を強調する左翼の知識人が好んで使った比喩だが、そうではなかった。南ベトナムの民族解放戦線は北ベトナム軍の隠れ蓑で、その背後に中国、ソ連がいた。いわば代理戦争だったのだ。

▶「陶器店に入ってきた象」という言い方もあった。米国の介入は善意からだが、象が動くたびに店のセトモノが粉々に壊れる-。大統領選で共和党の候補指名が確実なドナルド・トランプ氏は「米国第一」を掲げ、「もはや世界の警察官ではいられない」と言う。めまいがするほど時代の変化は早い。