科学と一般の人をつなぐリスクコミュニケーション(リスコミ)の実績が評価され、国際原子力機関(IAEA)の事故・緊急事態対応センターのコンサルタントに就任した。センターは原発事故に備え対処法を示す指針などを作る拠点。オーストリア・ウィーンの本部で2月、東京電力福島第1原発事故後の取り組みについて講演したことがきっかけで、依頼を受けた。
「他のメンバーは各国の政府関係者や原子力の研究者。主に食品企業のコンサルタントをしている私が選ばれ驚きました」
リスコミは、リスクに関する正確な情報を理解し、納得できるように話し合う取り組み。5年前の原発事故で、福島県飯舘村の住民を対象にリスコミを実施。食品の放射性物質をゼロにしてほしいと求める母親らに、食品には天然の放射性物質が含まれるものがあることを説明した。バナナとポテトチップスに天然の放射性物質が含まれることを伝えると、「子供にバナナは食べさせない」と逆効果に。一方、ポテチは「それぐらいなら気にしない」。