野口裕之の軍事情勢

習近平氏の傲慢無礼の数々にエリザベス女王もおかんむり…だが増長させたのは英政府ではないのか?

 英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)の報じ方は、ガーディアン紙に比べても一層痛々しく感じた。

 《英国は中国側の傲慢な態度に耐えている》 

 しかし、《属国=英国》と《植民地総督=李首相》の逆転した従属関係を、必要以上に印象付けた責任は英国政府にある。英国政府は李首相滞在中、自由を求める人民を大虐殺して25周年を迎えた《天安門事件》を封印したのである。

 中国主導で目的・将来図の判然とせぬアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に欧州でいの一番に参加表明し、原発建設協力や諜報機関という裏の顔が観測される情報通信機器メーカーとの連携…。英中両国間の経済関係強化は勝手にやればよい。

英国は自らの卑屈な態度に耐えられるのか?

 ただし、英国は今後、耐えていけるのか? FTが指摘した《中国側の傲慢な態度》にではない。《英国の卑屈な態度》に自ら耐えていけるのか、自問すべきだ。

 エリザベス女王が「とても非礼だった」と評した習氏の訪英で、英国側に約束した中国の投資額は6兆6800億円と膨張。投資額に伴って態度も不遜の度を膨らませた。独立国家としての主権を侵犯しかねぬ中国側護衛官の護身用銃器携帯と反習近平政権デモ取り締まりまで平然と要求した、もようだ。いずれも拒否したが、このときも「訪英中止」を切り出して威嚇した。英国内では、「英中黄金時代の幕開け」などと魂をも売った英国政府に、エリザベス女王が苦言を呈したとの報道であふれた。

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