産経抄

「反面教師」という言葉は毛沢東の演説から広まったが… 5月23日

 悪しき手本を意味する「反面教師」という言葉がある。考古学者、故森浩一さんの小学生時代の担任は、まさにそんな教師だった。ある日、川のなかで遊んでいて、土器の破片を見つけた。古代の土器だと直感したそうだ。もっとも翌日、担任の先生に見せても相手にしてくれない。「古代の遺物が身近に落ちているはずがない」と決めつける。

 ▼森少年は、自分で考古学の本を探し、古墳時代の土器だと突き止めた。先生の言葉といえども、むやみに信じてはいけない。「何故そう言えるのかを自分なりに検証するくせがついた」のは、この体験からだという(『森浩一の考古交友録』)。

 ▼北海道苫小牧市の道立高校の正門で、教員が生徒に安全保障関連法への反対を呼びかけるビラを配っていた。下校時には署名まで求めていた。これまでも似たような事例は、各地で報告されている。「政治的中立性」など、どこ吹く風のようだ。選挙権年齢の18歳への引き下げが決まってから、学校を政治闘争の場と心得る一部教員の暴走が、一層目立ってきた。

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