ビジネスの裏側

鴻海はシャープとの約束守るか…創業者へのリスペクト「記念館建設」も怪しい

 一方でユニークな製品も数多い。シェーバーとドライヤーを合わせた「ひげドラ」(同53年)をはじめ、電卓機能が信じられない人のためにそろばんと一体化して検算できるようにと開発した「ソロカル」(同)などなど。また商品化はされなかったが、左右両側から視聴のできる「両面テレビ」もある。ミュージアムは、早川氏が追いかけ続けた「創意」にあふれた気風を示している。

 薄まる創業家の存在感

 ただ、早川氏ゆかりの品は直筆の書や着物などが並んでいる程度で、それほど多くはない。来館者に積極的に紹介することも少ないようだ

 同ミュージアムは「創業家の自宅に行かなければ、収集が難しい」と説明するが、現在はあまり連絡を取り合っていないという。社内に血縁者はいるものの創業家との関係は薄く、新たに早川氏の遺品を収集できるめどは立っていない。倉庫にも収蔵品はなく、「これ以上の収集は無理」(シャープ関係者)とされる。

 さらに、シャープを退職した元社員の1人は「社内に早川氏の薫陶を直接受けた人は、ほとんど残っていない」と明かす。早川氏は晩年、経営を大番頭で2代目社長の佐伯旭氏に任せたため、社員の前に出ることはほとんどなかった。

 実際のところ、現在のシャープと創業家とのかかわりは決して深くはないのである。

ミュージアムの地元・天理市は移転を心配

 鴻海は、シャープと買収契約を結んだ4月2日に記念館設立の覚書を交わしている。鴻海が資金的な支援をするという内容だ。シャープの次期社長に内定した鴻海の戴正呉副総裁は2日の記者会見で「今の本社の近くに新本社を建て、一番上の方に必ず記念館をつくりたい」と述べていた。だが、新本社は現在の本社近くに建つ可能性はなくなった。堺工場に移転することが決まったからだ。

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