「懸念材料は、爆弾などによる古典的テロだけではない」。26、27日に開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)。威信をかけて臨む警備について、警察幹部は新たなリスクに神経をとがらせる。「空からの襲撃にも対処する必要がある」
空からの襲撃-。日本では昨年4月22日、このリスクが現実化した。「首相官邸屋上に不審物がある」。官邸の警備員が発見したのは小型無人機「ドローン」。実行犯は約2週間前、誰にも気付かれず、機体を屋上に落下させていた。
国の原発政策に反発したという実行犯は、放射能を帯びた砂を詰めた容器などを機体に積んでいた。けが人などはなかったが、ドローンがテロのツールともなり得る現実が突きつけられ、衝撃が広がった。
ドローン悪用のリスクは事件発生当時、既に世界中で認識され、米国やフランスなどでは不審な機体の飛行が続発。危険物を積載し、NBC(核・生物・化学)テロにつながりかねないとの指摘もあった。
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日本の警察当局も危機感を強め、具体的なリスクの分析や対処法の検討を始めていた最中、官邸への侵入事件が発生。昨年12月、全国警察に先駆け、「無人航空機対処部隊」(IDT)が警視庁に発足した。