今年4月には、千葉県の市立小学校が1年の全クラスに安保関連法廃止の署名を求める女性団体のビラを配布。学校側はこの団体からの配布依頼を受けた際にビラの政治的文言の部分を見落としていたと説明しているが、市教委は「政治的中立性を損なう恐れがある」として校長と教頭を厳重注意する方針だ。
教育基本法は学校に政治的中立性を求めており、教員にも学校教育に対する国民の信頼を確保するため、公正中立な立場をとるよう求めている。ただ、安保関連法については、野党の一部から学校現場を巻き込んだ反対運動の必要性を公然と訴える声も上がっており、今後さらに学校現場での政治闘争に児童生徒が巻き込まれる恐れもある。
武蔵野大の貝塚茂樹教授(日本教育史)は「教員による生徒への発言は、両者の関係性から基本的に『権力性』を持つ。だからこそ政治的中立性が必要だ。安保関連法の話でも生徒に賛成か反対を求めるのではなく、いろいろな角度から考えさせる材料を与え、ものの見方を養うことが求められている」と話している。