経済インサイド

買収王・永守重信氏にルネサスは渡さない! 産業革新機構がCEOに選んだのは永守氏と敵対するある人物だった

 半導体大手ルネサスエレクトロニクスの社長兼最高経営責任者(CEO)に、カルソニックカンセイ前社長で日本電産前副社長を務めた呉文精氏が就任することが決まり、波紋を呼んでいる。ルネサスをめぐっては日本電産が買収に名乗りを上げていたが、呉氏は日本電産の永守重信会長兼社長と対立し同社を辞めた経緯があるためだ。異例のトップ人事は、ルネサス大株主の産業革新機構が、日本電産の買収に事実上「NO」を突きつけた格好だ。この背景には、経済産業省や自動車メーカーが、日本電産が自動運転のキーとなる半導体を握ることに警戒感を抱いているためとささやかれている。

 「この人事は少しやり過ぎではないか」-。

 革新機構の志賀俊之会長兼最高経営責任者(CEO)が、永守氏と対立して退職した呉氏を6月からルネサスのトップに据える人事を決めたことに、電機大手の幹部はこう声を潜めて話す。

 経営危機に陥っていたルネサスは大規模なリストラを断行し、ようやく再建のめどが立ち、株式を一定期間売却できないロックアップ契約も昨年9月にようやく解除された。革新機構は株式売却を検討し、自動車向け部品を強化していた日本電産と交渉していた。

会員限定記事会員サービス詳細