上映会では立松さんの長男で作家の横松心平さん(43)の講演もあった。映画の中の場面に「(当時通っていた)学校の近くの風景が出てきて、こんな近所でロケをやっていたのかとびっくりした」と振り返る。
主人公の農業青年については「モデルとなった人は家族ぐるみで仲良くしていた。ちゃんと元気に農業を続けている」。映画の中ではいろいろと事件が起きるが、モデルの人はもちろん関係ない。ただ、都市近郊の田園風景が大きく姿を変え、多くの農家が岐路に立たされた時代だった。立松さんは、そんな数年間を宇都宮で過ごした。(宇都宮支局 水野拓昌)
◇
あらすじ 野間文芸新人賞を受賞した作家、立松和平さんの同名小説が原作。宇都宮を舞台に、都市化の波に流され、団地の目の前の農地でトマト栽培にいそしむ青年が主人公。お見合いの話がトントンと進む一方、親友の人生は暗転し…。永島敏行、石田えり、ジョニー大倉、ケーシー高峰らが出演。音楽は井上堯之。根岸吉太郎監督。昭和56年公開。にっかつ撮影所。ATG配給。
アクセス 宇都宮市瑞穂。新4号バイパス(国道4号)沿い。JR宇都宮駅から関東バス瑞穂野団地行き「瑞穂野団地」下車。車の場合、北関東自動車道宇都宮上三川インターチェンジから新4号バイパスを北に2・5キロ。国道121号との交差点を越えてすぐ。