討論

返さなくていい「給付型奨学金」 どう考える?

 --税金の投入に理解は得られるか

 「国民の理解をすぐに得ることは、現実的には難しいかもしれない。しかし、奨学金には国としてリターンが期待できる。日本には天然資源がなく、人材が唯一の資源だ。人への投資をどこの国よりも一生懸命やらないといけないはず。奨学金によって優秀な人材を育成できれば、高額納税者が誕生したり、国際競争力の高い技術を発明したり、国富の増大にもつなげることができる。教育は経済成長をもたらすものだということを自覚すべきだ」

 --日本では給付型の創設がなぜ実現していないのか

 「経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国のうち、給付型がないのは日本とアイスランドだけ。しかし、アイスランドは大学の授業料が無料なので、実質的には日本だけといえる。欧州などでは、1970年代頃から大学卒業後も安定的な進路が保証されにくくなっていた。一方、日本で若者の貧困が顕在化したのは、2000年代に入ってから。その時差が、高等教育に対する日本の公的支援が遅れている原因ではないかと推測している」

 〈こまざき・ひろき〉昭和54年、東京都生まれ。36歳。慶応大学総合政策学部卒。病児保育などを行う認定NPO法人「フローレンス」を立ち上げた。内閣府「子ども・子育て会議」の委員などを務める。

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