討論

返さなくていい「給付型奨学金」 どう考える?

休眠預金を財源に 認定NPO法人「フローレンス」代表理事 駒崎弘樹氏

 --なぜ給付型奨学金を創設する必要があるのか

 「やる気があって勉強したいにもかかわらず、経済的な問題が障害となって、進学を諦めている子供たちがいるという現実がある。貸与型を活用すればいいという声もあるが、実質的には学生ローンで、多額の借金を背負うことになる。非正規雇用が拡大している現在は、有名な大学を卒業すれば、正社員になれ、終身雇用が約束されるという時代ではない。大学を出て就職に失敗すれば、たちまち返済が困難になる。貸与型の返済を延滞している人の多くが経済的理由であることからも明らかだ」

 --財源の確保が課題にあるという声も多い

 「財源として、金融機関の口座から10年間出し入れがない『休眠預金』の活用を提案したい。その金額は、年間約1千億円に上るといわれ、銀行の雑収入として処理されている。活用するための法律をつくり、例えば、その1割が給付型の財源になれば、年間100万円を1万人の子供に給付することができる」

 --海外の状況は

 「英国や韓国では、休眠預金を給付型の財源として活用している。預金者から返還を求められれば、いつでも返している。それでも永久休眠化してしまうお金が大半なので、運用可能だ。ただし、本来的には、税金で運営されるべきものだと思う。だから、まずは休眠預金を活用して制度を軌道に乗せて、国民の理解が得られた段階で、財源を税金に切り替えてもいいかもしれない」

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