--奨学金に対する認識を改める必要がある
「私も大学院への進学に際して、貸与型を活用し、今年で返済を終える予定だ。貸与型の多くは有利子で、教育ローンの色合いが強い。学生に対して、『借りて返すもの』であることをもっと強調すべきだ。さらに、高校などの授業に金融教育を導入するのが望ましい。奨学金だけに限定せず、ローン全般やクレジットカードなど『お金を借りる』ことの仕組みをしっかりと教えることは、社会人になってからの家計管理や人生設計にも役立つはずだ」
--給付型が実現しても、教育をめぐる問題が全て解消するわけではない
「財源の制限などもあり、全員が給付型の恩恵を受けられるわけではないだろう。高等教育への家計の負担割合は諸外国に比して高い。給付型の導入がクローズアップされることで、教育費をめぐるそのほかの諸問題の議論がストップしてしまわないように注意が必要だ。貸与型の無利子の枠を広げたり、良い成績を修めた場合の返還免除を拡充したりと、現行の奨学金制度にも改善できる点はたくさんある」
--子供の教育のため、各家庭でできることは
「教育費については、各家庭で広い視点を持って、子供が小さいうちから議論し、計画を立ててもらいたい。大学受験する直前になって教育資金の相談を受けることも多いが、準備期間が短いとできる助言は限られる。例えば、子供が生まれた直後から月2万円貯蓄すれば、18年間で400万円以上となる。奨学金を受けなくても子供を大学に進学させやすい環境になる」
〈かとう・りり〉昭和56年、米ロサンゼルス市生まれ。34歳。慶応大学大学院修士課程修了。信託銀行などを経て、FP事務所「マネーステップオフィス」を設立。慶応大大学院特任助教も務める。