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返済の必要がない「給付型奨学金」の創設に向けた議論が活発化している。国による奨学金は、日本学生支援機構が運営する貸与型しかなく、卒業後に返済に苦しむ若者も少なくないのが実情だ。18歳選挙権が導入される夏の参院選で、給付型創設が争点になる可能性もある。子供の貧困問題に取り組む認定NPO法人「フローレンス」代表理事の駒崎弘樹氏と、教育資金に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の加藤梨里氏に見解を聞いた。(玉崎栄次)
貸与型の改善も必要 ファイナンシャルプランナー 加藤梨里氏
--給付型奨学金創設の是非をめぐり、議論が活発化している
「経済的な理由による教育格差をなくすためにも、給付型は整備されなければならないと思う。しかし、現在は大学生の約半数が奨学金を受けており、中には本来の目的から外れた奨学金の使い方をしている学生がいる実情もある。給付型を、お金を野放図にばらまくような制度にしてはならない。給付された学生が、お金をきちんと学業に使うよう徹底することが一つの課題となるだろう」
--貸与型奨学金では、卒業後も返還しない延滞者が問題化している
「家計の行き詰まりなどから返還が滞るケースが多い。一方で、奨学金制度や『お金を借りる』ということについて、学生側の理解が乏しいことも一因だ。平成26年度に日本学生支援機構が行った調査では、延滞者のほぼ半数が、奨学金に返還義務があることを『借りる手続きをする前に知らなかった』と回答している。お金の使い方や、借り方を教える金融教育が不十分であることを物語っている」