都市を生きる建築(64)

都心で歴史を刻む敬虔な信仰の場…日本基督教団浪花教会

【都市を生きる建築(64)】都心で歴史を刻む敬虔な信仰の場…日本基督教団浪花教会
【都市を生きる建築(64)】都心で歴史を刻む敬虔な信仰の場…日本基督教団浪花教会
その他の写真を見る (1/2枚)

 大阪市内で最も多くの近代建築が残る北船場エリアでも、さすがに歴史的な建築が隣り合って並んでいる場所は数えるほどしかない。そのひとつが三休橋筋で、第58回で紹介した赤煉瓦(れんが)の洋館、オペラ・ドメーヌ高麗橋と、今回紹介する日本基督教団浪花(なにわ)教会が、並木道に歴史と彩りを添えている。

 プロテスタント教会である浪花教会の歴史は大変古く、設立は1877(明治10)年に遡(さかのぼ)る。1890年に現在の地に木造の教会堂を建て、船場におけるキリスト教信仰に大きな役割を果たしてきた。教会創立50周年にあたる年、ちょうど三休橋筋の道路拡幅が都市計画で決まり、教会堂の建て替えを計画。ちなみに隣の赤煉瓦の洋館は、道路にかかる部分だけを除却して、下がった位置にもう一度外壁を復元した。歴史を紐解(ひもと)くと、都市計画と建築の履歴に密接な関係がみられて面白い。

 新しい浪花教会は、鉄筋コンクリート造3階建てで1930(昭和5)年に完成した。浪花教会というと、設計指導の立場でアメリカ出身の建築家、W・M・ヴォーリズが関わったことがよく知られる。自身もキリスト教信者であり、もともと伝道を目的に来日したヴォーリズは、教会やミッション系の学校建築などを多く手がけ、大阪市内にも大阪教会(1922年)が残る。浪花教会の設計と施工を請け負ったのは竹中工務店で、設計は石川純一郎が担当した。