由比ガ浜周辺で下水流出 工事難航、風評被害の懸念

 マリンスポーツや海水浴が盛んなことで知られる鎌倉市の由比ガ浜海岸の近くで、下水道管が破損し、大量の下水が流出する事態が発生している。仮設管設置が追いつかず、市は1万7千世帯に対して「節水の呼びかけ」を開始するなど、市民生活への影響も出始めた。市が海への入水を控えるよう呼びかけるなど、海水浴シーズンを前にイメージ悪化も懸念されている。

 ◆節水呼びかけ

 由比ガ浜海岸から約500メートル離れた国道134号の歩道下から、濁った水が海へ流出していた。流出量は1日当たり約1万立方メートルで、10トントラック1千台分にも当たる。

 下水管の破損が確認されたのは4月22日のこと。同市稲村ガ崎の国道下に埋設していた下水管のつなぎ目から漏水が発生。市公共下水道西部ポンプ場の送水を緊急停止し、消毒処理したうえで、海に下水を放流する緊急対応を取った。周辺では歩道の陥没や斜面崩落が相次いでおり、周辺の地盤にひび割れが起きたことが要因とみられている。

 当初は4月末までに仮設の工事が完了し、漏水は止まるとの見通しだったが、地盤が不安定なことから、工事が難航。発生当初と比べて流出量は減少したものの、現在も流出が続いている。

 流出を食い止めようと、付近の鎌倉海浜公園水泳プールに下水をためて処理する案も浮上したが、「周辺に悪臭が広がる可能性がある」との意見もあり断念。

 今月6日には市民に向けて、「節水の呼びかけ」を開始。さらに、処理できない下水をバキュームカーでくみ取り、市内の処理場にピストン輸送する異例の対応をとるものの、焼け石に水なのが実情だ。

 ◆海水浴場は?

 懸念されるのが風評被害だ。市が14日に実施した水質調査では、海水浴場の設置に関する基準値を超える大腸菌群を検出。

 これを受けて市は、海への入水を控えるよう通知を出し、16日朝にJR鎌倉駅前で通知を配布する事態となった。

 沖合ではシラス漁などがシーズンを迎えており、鎌倉漁業協同組合の担当者は「とにかく一刻も早く流出を止めてもらいたい」としたうえで、ホームページ上では「漁業水産物については、安全な数値が計測されているエリアで操業している」とのメッセージを掲載するなど、安全性のアピールに躍起だ。

 7月に予定されている海開きを前に海水浴シーズンへの影響もささやかれ始めた。由比ガ浜海水浴場では4月に水質や安全性などの基準をクリアしたビーチに与えられる国際環境認証「ブルーフラッグ」をアジアで初めて取得したばかり。

 水質検査の結果次第では「海水浴場の開設すら危ぶまれかねない」(海の家関係者)との声も噴出している。

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