関西の議論

ジェンダー・フリーと一緒にするな! 保守政治家・稲田朋美氏が先陣、LGBT支援の真意

性的少数者(LGBT)への差別解消に向けた提言書をまとめた自民党特命委員会。その設置を指示したのは保守政治家で知られる稲田朋美政調会長だった。同性カップルに対するパートナーシップ証明書の発行など一部の自治体でLGBT支援が広がる中、「保守」が志向する解決策とはどんなものなのか―
性的少数者(LGBT)への差別解消に向けた提言書をまとめた自民党特命委員会。その設置を指示したのは保守政治家で知られる稲田朋美政調会長だった。同性カップルに対するパートナーシップ証明書の発行など一部の自治体でLGBT支援が広がる中、「保守」が志向する解決策とはどんなものなのか―

 自民党がレズビアンやゲイなどの性的少数者(LGBT)に関する問題を検討する特命委員会を開き、LGBTへの理解促進のための基本的な考え方を定めた。近く議員立法として関連法案を国会に提出する方針だ。LGBTをめぐっては、一部の自治体で同性カップルがパートナーシップを宣誓した際に受領証を交付するなどの支援策が進んでいる。家族制度の崩壊を念頭に「同性婚にもつながりかねない」と保守層からの懸念が強い中での自民の方針決定。しかも、安倍晋三首相が「初の女性首相候補」として目をかけ、わが国の伝統を重視する保守政治家で知られる稲田朋美政調会長がこの動きの中心にいたことに、驚きをもって受け止めた人もいるかもしれない。「真意」はどこにあるのか。

性に寛容な伝統・文化

 11日、自民党の「性的指向・性自認に関する特命委員会」の委員長を務める古屋圭司元拉致問題担当相らは、菅義偉官房長官にLGBTへの差別解消に向けた提言書を手渡し、菅氏は「しっかり対応する」と応じた。提言書は4月末、特命委がまとめていたものだった。

 「人権的課題を解決する方法としてみんなの認識を変えなければいけない。『LGBTだ』と言わなくても生きていける社会を目指そう、というものだ」

 自民の「考え方」をこう解説するのは、神戸市で約15年間、LGBTへの支援活動を続けるNGO「BASE KOBE」の繁内幸治代表(55)。特命委にアドバイザーとして参加したという。

 特命委が定めた基本計画「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」はまず、わが国が歴史的に性について寛容だったという歴史的経緯をひもといている。

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