石原慎太郎 日本よ

低迷する日本経済の活路は兵器の国産化しかない 今こそメードインジャパンの飛行機を

 そうした超大型機の裏をかいて今日の航空機産業の隙間を突いての中小型の旅客機をアジアで作り出し彼らの鼻を明かしてやるつもりで前述のアジア大都市ネットワークでアジア製の旅客機を作り出すべくその可能性のある国の首都の代表に声をかけたものだった。

 即座に呼応したのはすでに自前のジェット練習戦闘機を作り出しているインドの会社『ハル』と、これまた自前の中小型旅客機を作ろうとてアメリカの陰謀で潰されたインドネシアのバンドンにある会社、ちなみにその会社の前庭にはアメリカの妨害で潰された完成予定の旅客機のドンガラが意趣ばらしに飾られていた。そして彼らに加えて航空機の緻密な部品の製造能力のある台湾までが呼応し合同会議に専門家を送り込んできていた。もしこの計画が成就していたならばその飛行機は、国内ではかつてのYS11のように限られた距離間で使えば良いし、インドのような亜大陸ではまだジャンボのような大型の旅客機によるような多人数の移動のニーズはまだ乏しいからコストの制約のために中小型の旅客機が適当のはずだ。

 そして発展の可能性の高いアセアン諸国間の行き来には地域間の距離からしてこのサイズの旅客機が極めて有効だという専門家たちの意見の合致をみたものだった。しかしその会議の情報が伝わるとつまらぬ横槍(よこやり)が日本の政府筋から入りアメリカを刺激せぬようにと新規の旅客機の収容容積に対する横槍が入ったと聞いた。その結果日本製の新型旅客機の容積は予定を下回るMRJに縮小させられ計画に参画していた専門家たちを落胆させてしまったものだ。かつては無類の強さを発揮しアメリカを震撼(しんかん)させた『ゼロ戦』や当時世界一高速の偵察機『新司偵』さらに高度の空中でもB29を撃ち落とせた『紫電改』のような軍用機を生み出した日本の航空機技術を恐れているのは誰よりもアメリカだ。

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