日本製紙は17日、植物由来の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の量産に乗り出す方針を明らかにした。石巻工場(宮城県石巻市)に新規設備を導入し、来年春に生産を始める。
新規設備の生産能力は年間500トンで、投資額は16億円。すでに採用されている大人用紙おむつの消臭用など、用途を開拓しながら幅広い製品向けに供給する。同社は岩国工場(山口県岩国市)に年30トンの試験生産設備を持つが、今後の需要拡大をにらみ、いち早く供給能力を拡大する必要があると判断した。
CNFは、木材パルプをナノ(1ナノは10億分の1)レベルまで解きほぐして作る極細繊維。鉄の5倍の強度で、重さは5分の1しかないため、樹脂に混ぜて自動車部品にするといった用途も見込まれ、平成42年には1兆円市場に育つとの予測もある。
製紙大手では、中越パルプ工業が鹿児島県薩摩川内市の工場で来年4月から年間100トンを量産するほか、大王製紙も三島工場(愛媛県四国中央市)で今年4月に試験生産を始めている。