熊本地震

引っ込み思案が地震で変わった…長い髪切り一念発起した東海大の女子学生

ボランティア活動で汗を流す東海大の下川仁美さん。腰まで伸ばしていた髪をばっさり切った=熊本市東区(志儀駒貴撮影)
ボランティア活動で汗を流す東海大の下川仁美さん。腰まで伸ばしていた髪をばっさり切った=熊本市東区(志儀駒貴撮影)

 「私たちが過ごした村を助けてほしい」。熊本地震の「本震」から16日で1カ月。熊本県南阿蘇村の学生アパートで被災した東海大農学部3年、下川仁美さん(20)が、当時の体験談と写真をインターネット上で公開している。少しでも復興の力になろうと自慢の長い髪を切り、ボランティアにも奔走する。「引っ込み思案」だった自分を変えてくれたのは、自主的に支援活動を行う大学の友人たちだった。

 4月16日、下川さんは「学生村」と呼ばれていた東海大阿蘇キャンパス近くの学生向けアパートの1棟で就寝中に被災した。ベッドから転がるようにテーブルの下に入った瞬間、周囲の棚や冷蔵庫が倒れて身動きが取れなくなった。停電の暗闇の中、手探りをしているときに割れたガラスをつかんだ。流血しながらも何とかベランダにはい出した。

 「これを履いて」。安否確認をして回っていた近所の男子学生から運動靴を渡された。路上で泣いていたパジャマ姿の友人の女子学生と合流。一帯はガスの臭いが充満し、「爆発するかもしれない」と不安なまま近くの小学校を目指した。

 道路は波打ち、電柱が倒れていた。足下を照らす携帯電話の明かりで、1階部分が押しつぶされた建物がいくつも目に入った。

 小学校のグラウンドには数百人が集まり、余震のたびに悲鳴が上がった。男子学生らが倒壊した建物に救助に向かい、意識のない人や血だらけの負傷者がブルーシートに寝かされた。

橋は土にのまれ、村は孤立

 「あの山は何だ」。夜が明けると驚きの声が上がった。下川さんのアパートの目の前にあった阿蘇大橋の裏手の山で土砂崩れが発生し、茶色い地面がむき出しになっていた。橋は土にのまれ、村は孤立していた。

 負傷者はヘリコプターで搬送されたが、それ以外の人は大学の体育館でさらに一泊することになった。

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