産経抄

50年前に毛沢東が押した2つのスイッチ 5月16日

 50年前の今日は、どんな一日だったろう。日本は、ほぼ全国で雨だった。翌日の新聞によると、雨粒には、中国が数日前に行った核実験による「死の灰」も含まれていた。

 ▼もっともこの日、中国共産党主席の毛沢東は、「文化大革命」という、もう一つの爆弾のスイッチを押していた。資産階級を粛清するよう指示したいわゆる「5・16通知」が、中央政治局拡大会議で採択されたのだ。

 ▼その後10年にわたり、約1億人が迫害され、約2000万人が死亡した。権力奪還のために仕掛けた爆弾が、これほど悲惨な結果を招くとは、本人も当初は想像していなかったはずだ。

 ▼実は習近平国家主席も被害を受けている。父親の習仲勲は、「紅衛兵」につるし上げられ、長く監禁生活を強いられた。習氏も農村へ「下放」された経験を持つ。その習氏が、父の敵だったはずの毛沢東の継承者になろうとしている、との指摘がある。確かに言論統制を強め、腐敗撲滅運動では政敵を次々に葬った政治手法はそっくりである。

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