その他の写真を見る (1/2枚)
日本最高齢のアジアゾウとして知られる「はな子」をめぐり、海外から「救出」を求める声が広がっている。「監獄」に閉じ込められた悲劇の象として紹介される一方、69歳のはな子を懸命に世話する動物園側は困惑を隠せない。はな子は本当に不幸せなのか。(iRONNA)
◇
私は井の頭自然文化園(東京都武蔵野市)の年間パスポートを持っていて、しょっちゅう足を運んでいます。はな子の飼育場の前にはベンチがあり、私は大抵空いているそのベンチに座ります。なにせ、陸上哺乳類で最大の動物であり、しかも、その国内最高齢記録保持者が目の前で同じ瞬間を生きているのですから。
◆悪を善に変える一歩
動物園とは人間からすれば、本来はまず見ることのできない野生の生き物を観賞し、楽しむことができる場所ですが、檻(おり)の中で一生を過ごし、死んでいく動物の立場で考えると、ものすごく悲しく残酷な場所に思えます。
もう10年ぐらい前でしょうか、テレビで旭山動物園の園長である坂東元さん(当時は副園長)がこのことについて、「必要悪」という表現をされていました。動物園は人々を喜ばせるだけでなく、希少動物の繁殖や研究なども手掛けています。だから必要とした上で、本来は大地を駆け回る生き物を狭い檻に閉じ込めているのだから「悪」である、ということを正直におっしゃっていました。