21年ごろ、この土地をめぐってある計画が進められていた。土地の売却を考えた所有者が設計会社やデベロッパーとともに、中国の要人が来訪した際の航空機を収納する格納庫を建設しようとしたのだ。
前道議の小野寺秀氏は振り返る。「航空自衛隊の基地がある滑走路と、中国の飛行機を収納する格納庫への滑走路がつながるというのは普通ありえない。設計図を見て驚いた。中国の要望を聞きながら話を進めたようで、中国も乗り気だったと聞いている。途中で頓挫したから大事には至らなかった」
道庁側は安全保障上の問題を理由に、所有者に売却しないよう要望すると同時に、22年から23年にかけて国に買収するよう働きかけたが実現しなかったという。
この土地の管理会社はこう話す。「昔は確かに中国から購入の話はあった。怪しい客には売らないが、しっかりしたビジョンがあれば、国を問わずに売る。最近では日本の法人だが、背後に中国の影が見えるケースもある。いろいろな話があり、交渉中だ」
この地域には売地が多い。中央日報によると、韓国電力公社が総事業費約113億円を投入し、来年下半期までに新千歳空港近隣の約109ヘクタールに13万台の太陽光モジュールを設置する予定で、4月20日に着工式が行われたという。
小野寺氏は長崎県・対馬の海上自衛隊施設の隣接地が韓国資本に買収された例を挙げ、こう警告する。「国として安全保障上重要なエリアを決めて、そこを国が管理するとか、買い上げるとかの方向にしないと手遅れになる。対馬の二の舞いになる」
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平成27年の海外資本などによる北海道の森林買収は、11カ所(計約107ヘクタール)だった。内訳は中国(香港を含む)が7カ所(同91.1ヘクタール)、シンガポールが1カ所(同2ヘクタール)、英領バージン諸島が2カ所(同2.8ヘクタール)、オーストラリアが1カ所(同11ヘクタール)。利用目的は「資産保有」「不動産開発」「現況利用」などだが、中国資本の場合、「別荘」「投資用」「コンドミニアム」「スキー場」「太陽光発電」がそれぞれ1カ所ずつで、2カ所は「不明」だった。