北海道が危ない(上)

中国生まれの「反天皇」農場主が帯広で170haを取得したのはなぜか? 朝鮮総連議長らにもお披露目し…

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この農場の農地拡張や北朝鮮や中国との関係は、さまざまな波紋を広げている。

「この辺は石が多いから農地としては適切ではない。採算が合わないのになぜ?」「農業機材や資材を見ると果樹園としては必要のないものもあり、つじつまが合わない」…。

農場の内情に詳しい関係者も「純粋に有機農法を追求するのならいいが、朝鮮総連や中国が関係しているとなると…。思想的に反天皇陛下だとすればさらに怖い。これから中国人らをドンドン受け入れ、農場内に住むことにでもなれば、別の大きな問題が出て来る」と表情を曇らせた。

長年にわたり中国資本による道内での不動産買収を注視している前道議の小野寺秀氏はこう推測する。「中国資本はこれまでは建物や部屋、土地の一部などを買っていたが、最近は集落単位で買っている。自己完結的に生活できるようなものを買おうとしているのではないか。拓成地域には戸蔦別川があり、水源地としては一流。北朝鮮や中国の意向は分からないが、自己完結型の最適なエリアだ」

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日高山脈をはさんで西側に位置する平取町。「中国人を中心とした閉鎖的な集落ができるのでは」と不安が広がっているという。

国道237号を北上し、幌尻岳の看板を目印に道道638号へ。国有林の合間を縫うように走る道道は、車がようやく対向できるほどで、民家はない。途中から舗装が終わり、さらに狭くなる。道道に入って約15分、細い山道を抜けると目の前が開けた。豊糠地区だ。幌尻岳の西側の麓に位置し、標高約250メートル。道路は幌尻岳の登り口まで続く。幌尻岳の東側がすでに紹介した帯広市拓成町の広大な農地だ。

今年春、平取町内に続く道道が開通したが、人里離れた袋小路状態の集落。何者かが意図的に隔離された社会を作ろうと思えば、これほど適切な場所はない。そんな印象を持った。

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そんな山間の集落がほぼ「村ごと」買収されたのは平成23年のことだ。ある住民は約10アール当たり10万円で、25ヘクタールの農地を2500万円で売ったという。支払いはキャッシュだった。

買収したのは、業務用スーパーを全国にフランチャイズ展開するA社の子会社の農業生産法人。平取町の農業委員会によると、豊糠の農地は219万4092平方メートルで、森林や原野を含めると912万1137平方メートル。このうち農地123万3754平方メートルが買収され、原野や山林を含めるともっと増えるという。

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