高額の海外出張費から公用車を使った別荘通い、政治資金による家族旅行疑惑と、噴出した舛添要一知事の金銭問題。13日の記者会見では謝罪しつつも、続投への意欲は強調した。だが、都議からは、辞職申し入れ書が提出されるなど、都議会内で責任を問う声が高まり、「不信任決議案」も聞こえだした。
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舛添知事の記者会見を聞いていた与党のある都議は、「有権者の反応を見極めたうえで、知事の辞職を視野に入れた対応を考えないといけない」と話した。
別の都議も「知事の不信任決議案を出す動きも出てくるかもしれない。問題はタイミングだ」とつぶやいた。
7月には参院選が予定されている。主要政党は、擁立候補の選挙態勢を万全にしたいところ。不信任決議を受けた知事が都議会の解散権を行使した場合、都議選が行われる。
そのタイミングによっては、参院選候補者の軸足として動くことになる都議らの選挙活動への影響は必至だからだ。
ただ、一方で「知事選になった時に、舛添知事の代わりになる知名度の高い候補者を見つけられるかどうか…」と、辞職まで求めることには慎重な都議の声も聞かれた。
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■柳ケ瀬都議「辞職求める」
舛添要一知事の会見を受け、柳ケ瀬裕文都議は13日、「トップリーダーとしての資質に問題があるといわざるをえない」として、辞職を求める申し入れ書を、舛添知事宛てに提出した。
申し入れ書では、同日の会見を「聞き苦しい言い訳」とし、「今回の問題は、公私混同を意図的に行ってきた証左」と指摘。2020年東京五輪・パラリンピックに向け、知事には都民からの信頼が不可欠だとして、「都政が混乱し、停滞する前に自ら辞職を決断することを求める」としている。
また、民進党系の都議団も、同日、政治資金の使途について説明責任を果たし、十分に精査することなどを求める申し入れ書を舛添知事宛てに提出した。
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■街の声 「子供やお年寄りのために使って」
舛添知事の一連の問題について、都内各地で街の声を聴いた。
◇江東区
3人の子供がおり、妊娠中の主婦、渡辺直美さん(32)「高額の海外出張費は考えられない。未来のある子供たちやお年寄りのために使って」
パート、五十嵐孝子さん(78)「厚労相のときは、お金にきちんとしているイメージがあった。期待していたのに、裏切られた感じがする」
自営業、田中富雄さん(63)「(海外出張で1泊10万円を超える部屋に泊まっていたことに)普通の部屋に泊まり、不足分は自分で払うべきだ。普通の人より給与も高いのに、感覚がおかしい」
◇文京区
新社会人の西本悠紀さん(22) 「政治資金の不正利用は許されない。もともと好きではないが、知事選のときに、他の候補との比較では、舛添氏を選ばざるをえなかった」
会社員、谷口周二さん(48)「政治家になる前はテレビなどでびしばしモノを言う人で、非常に好感が持てた。この人が政治家になればいいと思っていたが、いざ政治家になると、やはりあんなものか、という印象」
◇杉並区
会社員、安田則久さん(48)「公私混同の政治資金の使い方は正すべきだ。今までしっかりとしたイメージだったが、ダーティーな印象になった。ただ、公用車使用や海外出張でのファーストクラスの利用は、ある程度仕方ないのでは」
会社員、小林圭さん(28)「(公用車で別荘へ通っていたことに)動く知事室という理屈は分かる。しかし、毎週のように通っているのは問題ではないか」
派遣社員、半沢杏奈さん(23)「公費の使い方がちょっとズレている気がする。前の知事もお金の問題で辞めているので、(政治家に)あまり期待していない」
◇港区
大学院生、飯田麻木子さん(25)「公私の区別が甘いのではないか。週末ごとに湯河原町まで行く必要性がわからない。足を伸ばして風呂に入りたい、という理由は単なるぜいたくではないか」
◇千代田区
飲食店経営、小笠原誠さん(33)「都有地を韓国学校に貸し出す計画についても、都民より自分の外交パフォーマンスを優先している。早く辞めてもらいたい」
◇台東区
主婦、鈴木紀子さん(34)「足を伸ばせる風呂があるからと湯河原に行くのだったら都内の家の風呂の整備が先決。頭が切れる人なので、襟を正して都政に邁進(まいしん)してほしい」
◇多摩地区
主婦、小坂明美さん(52)「毎日のように聞かされる不祥事や疑惑にうんざり。税金が無駄に使われたと聞くと、都民として許せない。学者から政治家になり、大臣、都知事と経歴を重ねていくうちに感覚がマヒしたのではないか」
飲食店経営、江口信男さん(68)「舛添氏は見識、経歴ともに都知事にふさわしい人物と信じている。釈明すべきことは釈明し、都民の信頼を回復してほしい。4年後の東京五輪も見据えて、ふんどしのひもを引き締めて陣頭指揮をとってもらいたい」