宝塚市西谷地区の米の生産者らが約40年ぶりに生産した酒米を使用して、伊丹市の酒造会社が醸造した日本酒「純米大吟醸 乙女の舞」が完成し、11日から出荷が始まる。宝塚市内の酒販店限定で13日ごろから販売される予定。生産者らは新たな「宝塚ブランド」に成長することを願っている。
「乙女の舞」は精米歩合50%の純米大吟醸。香り豊かで繊細な口あたりが特徴で、1本(720ミリリットル)2千円(税別)で約3千本を生産した。
同地区では約40年前まで酒米「山田錦」を栽培していたが、管理・育成の難しさから生産農家がゼロになっていた。
そんななか、需要が高まりつつある酒米に注目し、新たな宝塚のブランドを作ろうと、同地区の米農家5人が約40年ぶりに酒米づくりに挑戦。昨年6月に田植えを行い、同10月末に収穫した。生産者の1人、南豊さん(63)=同市下佐曽利=によると、同地区では例年、食用米のコシヒカリを9月初めに収穫するが、今回の酒米は「稲穂が地面につくぎりぎりまで実らせて米のうまみを引き出した」という。
当初は酒米の生産2~3年目での酒造りを計画していたが、酒米の出来が想像以上に良かったことから、伊丹市東有岡の酒造会社「小西酒造」に醸造を要請。伊丹市内の地下水を利用した。同酒造の村田茂治常務取締役(64)は「将来的に、宝塚を代表するお酒になってくれたらうれしい」と話した。