【産経抄】お金持ちもいろいろ 5月11日 - 産経ニュース

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産経抄

お金持ちもいろいろ 5月11日

 縁の下やピラニアが泳ぐ水槽の下、子供のランドセル、果てはブラジャーのパッドの中まで。脱税者は、現金や通帳、印鑑をあらゆるところに隠す。故伊丹十三監督の大ヒット映画「マルサの女」では、マルサすなわち国税局の査察官が、全てを見破って脱税者を追い詰めていた。

 ▼映画製作のきっかけは、伊丹さんの納税体験である。監督1作目の「お葬式」の大成功により、支払った法人税は億単位となった。関係者への徹底取材の結果、映画のすべてのエピソードは、事実に基づいているという。

 ▼伊丹さんが、今世間を騒がすタックスヘイブン(租税回避地)の存在を知っていたら、大いに興味をそそられていただろう。世界中から流れ込んだ合法、非合法の資金は、母国の税務当局の目が届かないところでプールされているはずだった。

 ▼ところが、パナマの法律事務所から流出した「パナマ文書」によって、事情が変わった。国際調査報道ジャーナリスト連合は昨日、タックスヘイブンの顧客となった企業や個人のリストをインターネット上で公表した。名前が挙がった日本の著名な経営者らは、「租税回避が目的ではない」と、弁明に大わらわである。

 ▼かと思えば、「もっと多くの税金を支払いたい」と主張するお金持ちが現れた。米国有数の富豪であるロックフェラー家やアニメ映画で知られるディズニー家を含めた、ニューヨーク州に住む約50人である。州内の貧困児童とホームレスを救うために、年収約7500万円以上の高所得者の税率をさらに上げるべきだ。

 ▼今年3月、こんな内容の書簡を州知事に送り、話題になった。小泉純一郎元首相の「迷言」の一つ「人生いろいろ」に倣えば、お金持ちもいろいろということか。