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前略、金正恩(キム・ジョンウン)委員長
この手紙が正確な朝鮮語に訳され、あなたの手元に届くことを願いながら拙筆をとりました。
私があなたの父、金正日(ジョンイル)に興味を持つようになったのには理由があります。私はあなたの国の文化の薫陶を受けて少年時代を過ごしました。
私が生まれ育ったのは、1930年代に朝鮮半島から移住した人々が暮らす中国東北部、黒竜江省の小さな村です。冬には冷たい風が吹きすさび、村人は「冬眠」を余儀なくされます。
朝鮮半島南部出身の母はいつも故郷を懐かしみ、朝鮮語のラジオを慰みにしていました。母がつけっぱなしにしていた平壌放送に私も自然になじみました。
1970年代、平壌放送は夕方に「抗日パルチザン回想記」というラジオドラマを流しました。私や周りの子供たちはドラマにはまり、セリフをまねました。
ラジオを除けば、たまに村で上映される北朝鮮映画が最大の楽しみ。映画の中のメロディーや女優、「英雄」たちに夢中になりました。中学時代に「花を売る乙女」を見た後、感動から何日も眠れませんでした。
当時、あなたの国に憧れる中国人は決して少なくありませんでした。