しかも、海自の敵艦捕捉技術と隠密行動は世界第一級で、浅海の、特に勝手知ったる東シナ海での実力は追従を許さぬ。中国海軍の潜水艦が自衛隊の耳をかすめ、隠密行動を容易にする、水深150~1000メートルの海域を目指す東シナ海の大陸棚越えは至難のワザ。浅海における、静粛性に優れた潜水艦配備と搭乗員の技量向上は、中国海軍の至上命令といえる。フランスによる技術支援や、海底基地や母艦を使った潜航など運用を工夫すれば、カイマンの戦力は脅威だ。
カイマンが積む三次元海図作製機器も気になる。東シナ海での中国海洋観測艦遊弋は、潜水艦の攻撃・退却路である海底地形掌握も目的だ。
中国への武器輸出にウズくフランス
EUは天安門事件後、対中武器輸出を政治宣言したが、法的拘束力はナシ。それどころか、景気低迷を受け、欧州最大の対中武器輸出国フランスを筆頭に、解禁に踏み切りたい加盟国は多い。何しろ、フランスはロシアに大型強襲揚陸艦を、わが国の頭越しに売りさばこうとした前科を持つ。豪州の次期潜水艦も、カイマンも、強襲揚陸艦も、フランスの大手国策造船会社DCNSが手掛ける。
強襲揚陸艦は、ロシアの「ウクライナ侵攻」を受けた経済制裁で立ち消えになったものの、配備されれば港湾設備を頼らず航空機などを駆使し、多数の戦闘員や戦車を陸揚げできる。母港となるウラジオストクの整備にも一時フランスは大乗り気で、自衛隊による北方領土奪回に備えた重大戦力の出現寸前だった。