中国が台湾侵攻や朝鮮半島有事で北朝鮮を支援するに当たり、米空母打撃群の急派・反撃を受ける可能性がある。その際、中国軍、特に潜水艦は最低でも九州・沖縄~台湾~フィリピン~ボルネオを結ぶ《第1列島線》、理想的には伊豆諸島を起点に小笠原諸島~グアム・サイパン~パプアニューギニアに至る《第2列島線》で迎撃する必要が生じる。
米軍を支援する日本の貿易航路も、中国軍の封鎖後、南シナ海を通る西→東回りが、太平洋を通る東→西回りに変更を強いられるはずで、日本向け商船の破壊も第2列島線付近が作戦海域となろう。
浅海克服がカギの中国海軍潜水艦
いずれにしても、第2列島線に向かうには、第1列島線越え、つまり黄海~東シナ海の制海権掌握が前提だ。ところが、一帯には大陸棚が横たわる。黄海は大半が水深40メートルで深くて150メートル、東シナ海もほとんど100メートルを超えない。
これに対し、潜水艦の作戦行動は50メートル以下では困難。100メートルなら、艦の性能や搭乗員の技量で遂行できるが、東シナ海々底の激しい起伏は、要求性能・技量のハードルを上げる。
「音の壁」も立ちふさがる。潜水艦は敵艦の原子炉・機関・スクリュー音傍受で攻撃対象・位置を特定しながら、自らの音を極限まで消し去ることが基本戦術。ただし、音の伝播は水深▽海底地形▽海流の速度・方向▽水温▽塩分濃度で変わる。とりわけ、浅海では音が乱反射し、捕捉に悪条件が増える。