豪州が導入するフランス製潜水艦の性能がダウンするためだ。以下、説明する。
もともと米国は、海上自衛隊の《そうりゅう型》に、米国の戦闘システムを埋め込む強い期待を持っていた。日米共同演習などを通じ、フランス製に比べ、日本製潜水艦の性能が高いと絶大な信頼を寄せていたし、米日豪の対中包囲網強化の戦略図を描いていたからだ。従って、フランス製に決まった現在、フランスの「邪心」を知り尽くし、日本製潜水艦導入阻止に向け豪州に圧力をかけた「中国の影」を警戒する米国は、日本製に搭載予定だった戦闘システムの能力を一層下げて提供するに違いない。結局、得するのは中仏で、豪中貿易など経済面はともかく、安全保障上一番の貧乏クジを引いたのは豪州だった。
後半戦はフランス製小型潜水艦の中国輸出
潜水艦受注合戦には、後半戦が控えている恐れがある。
中国が、比較的小ぶりのフランス製SNNを高く評価する点は既述したが、別のフランス製小型潜水艦にも触手をのばす。
小欄は、パリで2012年に開催された海洋軍事産業見本市で、フランスが発表した小型潜水艦に警鐘を鳴らした。有力売り込み先は中国では、と疑ったのだ。
発表された潜水艦SMX-26カイマンは水深12メートルの浅海で作戦行動でき、可潜時間30日。対水上艦用長魚雷2本/対潜用短魚雷8本を搭載する。カイマンであれば、潜水艦による浅海での作戦行動という、中国海軍が超えるべきハードルをクリアする。