豪州の次期潜水艦をめぐり、フランスがなぜか絶望的劣勢を覆し、わが国を破ったとの一報に接し、小欄はとっさに南国の楽園が思い浮かんだ。
「ニューカレドニア」
豪州の東1200キロに位置し、美しいサンゴ礁が世界遺産に登録される、世界的に有名なリゾート地だ。が、もう一つ、恐ろしい顔を持つ。ニューカレドニアはフランスの海外領土で、インマルサット(国際移動通信衛星ネットワーク)やインテルサット(商業衛星通信システム)などを傍受する世界的通信監視網のアジア太平洋地域における拠点なのだ。安全保障上の傍受は言うに及ばず、国策である兵器取引の成約を狙う産業諜報も主要任務だといわれる。
小欄は今次日仏潜水艦受注合戦で、フランスが「この手」で番狂わせを実現し、既に「次の一手」も視野に入れていると確信する。中国にも台湾にも何食わぬ顔で兵器を売りさばくフランスの次期標的は、中国への小型潜水艦の売り込み。あまりに水深が浅く、中国人民解放軍海軍の技量では作戦行動がままならない東シナ海で、自衛隊戦力を封じ込めるの切り札となろう。
武器輸出を前にすると節操をかなぐり捨てるフランス
国内不況に悩むフランスは、天安門事件(1989年)後にEU(欧州連合)が禁止した武器輸出を解禁したくてウズウズしている。フランスのフランソワ・オランド大統領(61)は日本時間3日未明、訪仏した安倍晋三首相(61)に「安全保障・防衛分野での協力」を訴えたが、信用するか否かは、今後の行状を十分吟味して後の話。日本を筆頭にアジアに大きな災いをもたらす、邪悪な「中仏同盟」を創った瞬間、日仏両国は「安全保障・防衛分野での敵対」関係へと激変する。日本文化に造詣の深いフランスと、武器輸出を前にすると節操をかなぐり捨てるフランスとを、別々の国として扱う警戒心が必要不可欠なのである。