衝撃事件の核心

見知らぬ外国人が住人を装って…増加する空き家を国際詐欺に使う外国人グループの手口とは

全国の空き家数と空き家率の推移
全国の空き家数と空き家率の推移

人口減少のあおりを受けて増加の一途をたどっている「空き家」や「空き室」に犯罪組織が目を付けて群がり始めている。だまし取った商品の送り先や、特殊詐欺の現金の送付先…背後には国境を越えて暗躍する犯罪グループも登場する。警察当局は空き室を悪用する犯罪組織の摘発を強化するとともに、不動産協会などと協力して空き家や空き室を使わせない取り組みを始めている。

空き部屋で家電受け取るだけで1万2千円…日中またがる犯罪グループ

「外国人風の女性が住民になりすまして宅配便を受け取っている」

昨年11月10日夕方、東京都世田谷区千歳台のアパートで管理人をしている男性から警視庁成城署に通報があった。現場に急行した署員が翌11日、アパートに出入りして家電製品を受け取っていた中国人の女(21)を発見し、住居侵入容疑で逮捕した。

警視庁組織犯罪対策総務課によると、女は「『王(ワン)』という男に指示された」と供述し、アパートで荷物を受け取って王に渡すことで、1万2千円の日当を受け取っていたという。

なぜ家電製品を受け取るだけでカネになるのか。「王」とは何者なのか-。

「王」の行方をつかむことができないまま年を越えた今年1月22日、今度は板橋区成増のアパート管理人から「空き室が荷物の受け取りに使われている」と通報があった。

現場に赴いた高島平署員が住居侵入容疑で逮捕した男こそ、中国籍の埼玉県川口市並木、無職、王嘉偉(ワン・ジャアウェイ)被告(28)だった。

その後の調べで、2人は不正に入手したクレジットカードの番号などを使って、インターネット通販で電子辞書やパソコンといった家電製品を購入、換金する犯罪グループの一員であることが判明した。

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