先生に恋をする。女子高ではそんな背伸びの恋愛も青春の1ページだ。卒業後に結婚に至る少女漫画のようなケースも実際にある。だが、この男性教諭の場合、そんな甘い妄想にとらわれて倫理観を見失ってしまったようだ。京都の私立女子高を卒業した女子大生と飲酒デートを重ね、体に触るなどのセクハラ行為をしたとして、定年間近だった同校の男性教諭が懲戒免職処分を受けた。元教諭は男女の個人的な交際を理由にした処分は無効だと猛反発。未払い分の給与の支払いなどを求めて提訴した。1審京都地裁での請求棄却を経て迎えた4月の大阪高裁判決。「自由恋愛」の主張はどう判断されたのか。
人気の物理教師
元教諭はこの女子高で30年以上にわたり、物理を教えていた。教務部長やクラス担任を歴任し、科学クラブやワンダーフォーゲル部の顧問も務めた。
元教諭をよく知る同校の卒業生は「教え方が上手で、私が物理を好きになったのは先生のおかげ」と話す。優しく教育熱心で、人気の先生だったようだ。
妻子もあり、平成27年3月には定年退職を迎える予定だった。順風満帆にみえた教師生活。だが定年まで1年数カ月を残し、元教諭は「学校の体面を汚した」として職を追われることになる。
未成年と飲酒デート
大阪高裁の判決によると、始まりは25年の夏、大学生になったばかりの卒業生が元教諭に送ったメールだった。
「夏休みに学校に行きたい」
詳しい経緯は不明だが、そう言って元教諭が学校に来ているかを尋ねたという。メールを受け取った元教諭は学校ではなく外で会うことを提案。2人は8月上旬、京都・祇園のしゃぶしゃぶ店で夕食をともにした。