経済インサイド

シャープ、東芝、三洋電機… リストラや身売りで中国などへの技術流出が止まらない!

 流出したのはスマートフォンなどに使われる記憶用半導体のデータで、犯人は「転職に有利になるため」とデータを持ち出していた。裁判で検察側は、「流出当時、世界最小だった東芝の商品の情報は有用だった。SK社は開発コストなしに急速な商品の向上を遂げ、東芝の競争力が低下した」と批判した。

 また、特許権侵害を疑われる事例も、時に問題となる。14年には、前述の小米が発表した空気清浄機「小米空気浄化器」が日本の家電ベンチャー、バルミューダの「Air Engine」にウリ二つだったという問題も起きた。

 このように、技術流出にもさまざまな経路があり、完全に防止するのは難しそうだ。また、シャープや東芝に関しては、日本側から望んでアジア企業に引き取ってもらったM&A(合併・買収)。単なる技術流出と批判するのは筋違いになりかねない。

 一方で、「1990年代は、日本の半導体や液晶の技術者を引き抜く動きが活発だったが、現在はそれほどでもない」(業界関係者)との指摘がある。中国の電子機器大手も、「本社で日本人はあまり見ない」。家電分野で多くが敗戦を喫した日本企業。アジア企業にとって、「ニーズ」のある技術者はすでにひと握りになっているのかもしれない。

(高橋寛次)

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