【ニューヨーク=上塚真由】カナダ西部アルバータ州で発生した大規模な山火事で、同州で採掘されるオイルサンド(油砂)の精製に深刻な影響が出ている。山火事が起きている地域に近いオイルサンド関連施設の操業が軒並み停止や縮小に追い込まれ、最大の供給先である米国のエネルギー政策にも影響を及ぼしかねない事態となっている。
1日に発生した山火事はこれまでに民家など1600戸を焼き、同州フォートマクマレーの全住民約8万8千人が避難。空気が乾燥しているため6日も火の勢いは衰えず、焼失面積は約10万ヘクタールとなった。近年の北米の山火事では最大規模で、地元当局者は、7日には20万ヘクタールに広がる可能性があるとし、「一帯は2カ月間も雨が降っていない。貴重な降雨があるまで燃え続けるだろう」と語った。
山火事に襲われた地域はカナダ有数の原油生産拠点で、同国経済は甚大な打撃を受けている。州内のオイルサンド関連施設は操業の停止や縮小の措置を取り、一部の施設では作業員宿舎を避難民に開放した。
エネルギー専門家は、山火事の影響でカナダのオイルサンドからの原油生産は1日当たり100万バレル滞っている恐れがあると指摘。これは、同国の1日当たりの生産量の3分の1余りに当たるという。