中国と闘うアジア

違法操業した外国漁船を次々爆破…インドネシアの女傑 スシ海洋・水産相の素顔に迫る

 これほど敵が多いにもかかわらず、政権発足以来、内閣改造を経ても職にとどまっていられるのは、ジョコ大統領との「近さ」にある。スシ氏の長男が今年1月に心臓疾患で31歳で死亡した際、ジョコ氏夫妻はその通夜に真っ先に駆けつけた。ちなみに、スシ氏は別の夫との間に次男と長女がいて、今は独身だ。

 スシ氏は、不法漁業の取り締まりで増えた漁業収入を元手に、沿岸警備能力の向上なども模索している。政治的影響力もあるインドネシアの国防省は、中国の南シナ海進出をにらみながら、ナトゥナ諸島周辺で海軍基地の整備など、抑止力向上も目指しており、スシ氏とベクトルを共にしている。

 中国は、南シナ海の領有権問題で、フィリピンやベトナムに対しては高圧的ととれる対応に終始している。だが、地域最大の大国で東南アジア諸国連合(ASEAN)の盟主を自他共に認めるインドネシアとの対立は避けたいところ。世界最大のイスラム教徒を抱えるインドネシアとは、過激派対策での協力も欠かせない。スシ氏は、中国にとり「頭痛の種」となっている。(了)