加藤「彼の政策からは、アメリカのダークサイド(闇の側面)を見る思いがします。そうした闇の塊が、トランプ氏に吸い寄せられているように見える」
島田氏「排除の論理の面ではそうなんですが、ただ彼の場合、ロシアのプーチン大統領のように外に攻めていく発想はありません。逆に『壁を作る』という話にしても、守りの狭量さなわけです。彼は要するに、『おれはアメリカ人の利益第一だ』ということを明確にいうわけです」
加藤「アメリカが世界的少子化の中で活力を維持しているのは、移民政策のおかげだという論法がつい最近まで当然のようにいわれていました。人口も先進国の中では増えているわけです。これは、移民を受け入れることによって豊かになるという思想に基づいていますよね」
島田氏「共和党のほうでも保守派は、アメリカ社会に貢献する能力を持って自活していける人はどんどん受け入れよう、それはアメリカにとってプラスになるといっています。ところが、初めから福祉に頼ろうとする流入者は排除すべきだ、だから明確に線引きすべきだという主張です。トランプ氏は、とにかく追い出そうという、その場限りの受けを狙ったポピュリズムですね」