島田洋一&加藤達也 特別対談(4)

「大土建屋大統領」目指すトランプ氏 「地球温暖化はない」が米保守派の常識

 島田氏「例えば中東に関して、中東に米軍がある程度駐留したり、空母を展開したりとか、それは何のためにやっているのかというと、要するに中東の石油の確保でしょう。それは『ばかげている話だ』とトランプ氏はいっています。アメリカ本土に大量の石油、シェールガス、シェールオイルが地下にも沿岸にもあり、そういうところをどんどん掘れば自給でき、輸出もできると。そうなれば中東から石油を輸入する必要はなくなるし米軍が出ていく必要はなくなる。中東にテロ勢力があり、それが脅威なら、中東の周りのまともな国々がつぶせばよい。アメリカが出ていく必要はないと主張しています。ただ、これはトランプ氏に限らず現在の共和党の中に結構そういう主張をする人はいるんです。だから彼の独創でも何でもない。トランプ氏には自由の理念を守る先頭にアメリカが立つという発想はないですね。アメリカを守るための軍事力は世界最強のものを持たなくてはならないというようなことをいっていますが、ほかの国は自分で自分を守れということです」

 加藤「選挙戦にはまだ先がありますが、最近の現象として、トランプ氏は反エスタブリッシュメントの支持を掃除機のように吸い込んでいるという見方がなされていますね」

 島田氏「(4月19日現在)トランプ氏は、共和党支持者の過半数はまだ取っていません。彼が最初に支持を集めたのは移民問題です。低賃金の不法移民と一番競合するのは黒人や貧困層です。そういう層が民主党も共和党も不法移民に甘いではないか、という強烈な不満を、トランプ氏がうまく吸い上げて『自分はすべて強制送還する』と主張して一定の支持を集めたという面があるわけです」

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