その他の写真を見る (1/5枚)
お宮のひとり娘として生まれて
〈昭和48年に連載を開始した「御宿かわせみシリーズ」は、江戸末期の旅籠(はたご)を舞台に、主人のるいが恋人の東吾らと市井の事件の解決にあたる人気時代小説。舞台を明治に移した「新・御宿かわせみ」シリーズとあわせて累計1700万部以上を発行。1月に出版した40冊目の新刊「お伊勢まいり」も好評だ〉
「御宿かわせみ」は「グランドホテル方式」の書き方がしたいと始めた作品です。1つの場所にさまざまな背景を持つ人が集まり、物語が展開します。本当は江戸で終わるはずだったのに、編集の方が「明治もいいじゃないですか」と「新・御宿-」を始めました。ファンの方からも「やめないで」というお手紙も届き、周囲からのエネルギーをいただいて書いている状態ですね。主要登場人物に子供が生まれると、読者から「そろそろ3歳になりますね」といったお手紙をいただき、慌てたこともあります。もうひとつの時代小説シリーズ「はやぶさ新八御用旅」は登場人物が年を取らないので、こちらのほうが書きよいですね。
私は代々木八幡宮(東京都渋谷区)の神主の娘として生まれました。八幡宮は武の神様ですけど、最近は「開運」と「縁結び」の神社といわれているようね。
私が生まれたとき、父は25歳、母は20歳。その後はどういうわけか子供に恵まれなかったので、ひとりっ子。幼稚園に行かなかったので自然と本を読むようになりましてね。父が熱心に文字や算数を教えてくれました。
〈小学校卒業の昭和19年、日本女子大付属高等女学校を受験し合格する〉